介護職への賃金上げルール定まる?

令和4年2月から始まる介護職への賃金ルールについて、厚生労働省は介護最新情報を出しました。
介護保険最新情報vol.1026:「介護職員処遇改善支援補助金」について
介護職員処遇改善支援補助金(以後、処遇改善補助金)という名目で、賃上げを行います。分かりやすく言うと、令和4年2月以降の法人負担分の賃上げ額を補助金でまかなうようになります。
今の段階でわかるルールを確認しましょう。
(1)処遇改善補助金をもらうための要件は?
- 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得している事業所であること
- 令和4年2・3月(令和3年度中)から実際に賃上げしていること
- その際、都道府県に賃上げを行う趣旨の用紙を提出が必要(メールでファイルを送ることでも可能)
- 補助金の2/3以上は介護職員等の「基本給」か、「毎月支払う手当」の引上げに使用(令和4年4月分以降)。
- 令和4年2・3月分は一時金での支給が可能
- 基本給の引き上げによる賞与や残業代などの手当への影響や、就業規則(賃金規程)改正に時間がかかるため
- 令和4年2・3月分は一時金での支給が可能
(2)対象の職種は?
- 介護職員が原則だが、事業所の判断でその他の職員も可能。
介護職員 |
その他の職員 ・事務職員、調理職員、ドライバーなど |
(3)申請手続きはどうする?:2つ必要になります
- まず各事業所で、都道府県に介護職員・その他職員の月額の賃金改善額を載せた計画書を提出(令和4年2,3月のタイミングで)。
- 月額の賃金改善額の総額(対象の職員全体の額)の記載が必要で、職員個人の賃金改善額の記載は求めない
- 都道府県に賃金改善期間経過後(実際は令和4年10月以降)、各事業所で実績報告書を提出。
- 月額の賃金改善額の総額(対象の職員全体の額)の記載が必要で、職員個人の賃金改善額の記載は求めない
各手続(執行)の進行の流れ
介護最新情報Vol1026:「介護職員処遇改善支援補助金」について」より
(4)処遇改善補助金はどれくらいもらえるのか?
- 介護サービスごとに設定された交付率に基づいて、金額が決定されます。
- 処遇改善補助金=総報酬×交付率
- 総報酬:基本報酬、法人で取得する加算、処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算を合計したもの
各介護サービスの交付率は、以下の通りです
介護最新情報Vol1026:「介護職員処遇改善支援補助金」について」より
(5)処遇改善補助金がもらえない介護サービスは何?:以下のものになります
- (介護予防)訪問看護
- (介護予防)訪問リハビリテーション
- (介護予防)福祉用具貸与・特定(介護予防)福祉用具販売
- (介護予防)居宅療養管理指導
- 居宅介護支援・介護予防支援
それでは、実際にどれくらい処遇改善補助金がもらえそうか事例で検討しましょう。
以下の事例を対象に計算してみます。
- 地域密着型通所介護:定員18名(全員日帰りで送迎を利用)
- 平均稼働率:80%
- 平均要介護度:2.0
- 全員7時間以上8時間未満を利用:基本報酬887単位
- 利用者様は全員入浴:入浴介助加算Ⅰ(40単位)を適用
- 処遇改善加算Ⅰ(5.9%)、介護職員等特定処遇改善加算Ⅱ(1.0%)を適用
- その他の区域(10.0倍)
- 日曜日営業休日
- 交付率:1.0%
地域密着型デイで、入浴介助加算と処遇改善加算等以外は主だった加算を取っていない事例です。処遇改善補助金は以下の計算式となります。
月間の処遇改善補助金(30日の月の場合):
18名×80%×((887+40)×(100%+5.9%+1.0%))単位×10.0倍×30日×6/7×1.0%
≒36,693円/月(小数点切り捨て)
この状況で考えた場合、職員の常勤換算4名を超えると、月9,000円の賃上げにするのは難しい状況になります。法人持ち出しで9,000円の賃上げを行うか、従業員に事情を説明して月9,000円以下の賃上げを行う必要があるようです。
とりあえず今の情報は令和3年12月31日現在のものです。後日の介護最新情報でQ&Aが出るでしょうから、引き続き注目しておきましょう。
株式会社マネジメントセンター
主任コンサルタント:小山 邦広
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