処遇改善加算Ⅰのすゝめ

株式会社マネジメントセンター

介護コンサルタント 小山 邦広

 

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と、かの福沢諭吉は「学問のすゝめ(すすめ)」の冒頭でも書いておりましたが、介護業界の経営者の方からお話を伺うと、「もう、ともかく、人の上でも下でもいいから人を造って、人手不足を解消できればなあ・・・」という心の声を聴くことがあります。

実際のところ、介護労働安定センターによる「平成28年度介護労働実態調査」の調査結果によると、従業員の過不足について、不足感を感じる施設は62.6%にのぼり、不足している理由として採用が困難であるが73.1%という結果が出ております。

 

従業員の過不足感

 

不足している理由(複数回答可)

 また、採用困難である理由について確認したところ、「賃金が低い」の割合が最も多く、57.3%に達しています。

 

採用困難である理由(複数回答可)

そこで、賃金が低いという件について、取るべき対策として、まずは処遇改善の見直しとなります。今月は、平成29年度介護職員処遇改善加算の実績報告について、意識せざるをえないと思うのですが、意外なことに処遇改善加算Ⅰを取得している施設が結構少ないのです。どれくらいかといえば、意外にも64.9%しか取得していないのです。

「介護職員処遇改善加算の取得状況について」
厚生労働省 第25回介護給付費分科会-介護事業経営調査委員会
「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」より

 

つまり、介護事業所の3分の1以上は、処遇改善加算Ⅰを取っていないことになります。ちなみに、処遇改善加算ⅠとⅡとの給料の差については、月に1万円ほど差があるといわれています。処遇改善加算Ⅰを取られていないとなると、これ非常にもったいないです。一般的に、求職者は求人広告を何から見るかといえば、給料面・待遇面でしょう。特に経験者にとって、ある程度の業務内容の予測もついて判断していきますので、たとえ月給が1,000円低いとなると、選択する職場の優先順位は低くなってしまうのではないでしょうか。

さらに、この「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」では、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の取得(届出)が困難な理由についても言及しておりますが、以下の通りとなっております。

「介護職員処遇改善加算の取得状況について」
厚生労働省 第25回介護給付費分科会-介護事業経営調査委員会
「平成29年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)」より

 

今回は、①の「昇給の仕組みをどのように定めたらよいかわからないため」について、お話ししたいと思います。
そもそも処遇改善加算Ⅰに必要な要件として「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの全て、及び職場環境等要件を満たしていること」とあります。その中でも特に「キャリアパス要件Ⅲ」は、他の処遇改善加算にない独自のものです。キャリアパス要件Ⅲを満たせば、処遇改善加算はほぼ取れたようなものです。

では、キャリアパス要件Ⅲはどのようなに満たせばよいのか?実は3種類の方法があります。
(ア) 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
(イ) 「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組み
(ウ) 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み

以上3つの仕組みの1つを施設内で導入し、就業規則に反映させる必要があります。

よく、どの要件が最適なのかというご質問をいただくことがあるのですが、個人的には(ウ)をお薦めしたいです。なぜかといえば、(ウ)については、長い目で見ると、職員のスキルアップの効果が見込めるからです。
(ウ)は、実技試験や人事評価などの基準を明文化することが求められます。これは職員からしてみると「基準に書かれていることをすれば、自分の仕事ぶりが認められて評価や賃金が上がるんだな」と知ることができ、「自分は次に何を鍛えればいいのか?」と自分の将来の展望が見えてくる効果が見込めます。施設が(ウ)に書かれていることを定期的に行う事で、介護サービスのレベルアップも図ることが結果的になります。そうなると顧客信頼度も増してくる結果になりますので、安定した経営にもなっていきます。

 もし、(ウ)「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み」に興味のある方、一度弊社にご相談いただけませんでしょうか。その他、処遇改善加算についてのご相談を承りますので、気軽にご相談ください。