調査内容から判断する、人材不足の対策とは?

株式会社マネジメントセンター

介護コンサルタント 小山 邦広

 

前回、私のコラムでは、処遇改善加算のお話をいたしましたが、今回のその続きです。

(参考:処遇改善加算Ⅰのすゝめ)https://www.isommc.com/archives/1074

 

処遇改善加算Ⅰの話をしたのは、「介護業界は賃金が他所と比べて低いから」との声が多かったため、賃金格差を少しでもなくすための提案をしたものでした。しかし、本当に賃金がすべての人材不足の問題なのでしょうか?

 そもそも、人材不足を起こる要因はどこにあるでしょうか。考えられるものは二つあります。一つ目は「採用する人がいないから」で、もうひとつは「離職する人がいるから」ではないでしょうか。このふたつの対策をとることが、まずは先決ではないかと思われます。

 

 ここに、介護福祉士がどんな理由で職場を選んだのかを表した統計があります。

出典:第145回介護給付費分科会資料 人材確保対策(参考資料)

 これによると、「賃金の水準が適当」よりも、「通勤が便利」、「やりたい職種・仕事内容」などが高い回答率となっております。これによると、「募集するエリアは広域に募集するのは採用効果が薄く、求人募集する内容で自分の将来・やりがいが分かりやすいのであれば、募集する確率が高くなる」と言えるのではないでしょうか。また、「職場の雰囲気が良い」や「法人の安定性、将来性」が賃金よりも回答率が高いというのがポイントで、企業・法人側の運営・管理方法が求人対策につながるという一面が見えてくるのではないでしょうか。

 

また、反対に、なぜ辞めるのかも同じ統計資料にでております。

 この結果で「理念や運営の在り方への不満」が2位になったのが注目です。採用の方では求職者の多くが判断しない「理念や運営の在り方」(8.1%)が、かたや離職する時には2位(25.7%)の要因となる、これはなぜでしょうか。考えられるものとして、職員が組織の管理者クラスの仕事ぶりを見て幻滅したということがあるのではないでしょうか。

 

 一般論としてどの業種・職場にも言えることですが、会社・法人は基本的な価値観である理念や方針に基づいて、組織運営を行っていきます。ただし理念・方針が現場やひとりひとりの社員に反映されるには、どうしても時間がかかります。

しかし時間がかかるからといって、経営者がその場その場の対応を優先するがあまり、本来取り組まなければならない、理念を反映させるための仕組みづくりや、職員に理念を浸透させるための教育・研修を後回しにすると、新しく入ってきた職員からはどのように見えてくるでしょうか。「この施設は理念をうたっているだけで、実がともなっていないのではないか」と思われてしまうのではないでしょうか。ましてや、管理職クラスが理念に反する行動を取ってしまったら、ますます職員は戸惑い白けてしまう結果になってしまいます。これが離職を引き起こす要因として考えられます。

 まずは「言っていることと、やっていること」を同じにしていくことを目指していくと良いかと思われます。そのうえで、職員から信用される施設運営を行う、このことが本来の離職対策といえるのではないでしょうか。

 もし、具体的な離職対策について興味のある方、一度弊社にご相談いただけませんでしょうか。相談を承りますので、気軽にご相談ください。

 

 さて、「え、離職は人間関係ではないのか?」と思われる向きの方もいらっしゃるかと思います。それはまた、後日、お話いたします。