コラム「平成30年度の介護保険法改正の狙い」

(株)マネジメントセンター

介護コンサルタント 小山 邦広

(1)今回の介護保険法の主な方針

平成30年度は、3年に一度の介護報酬等の改定となる年です。今年度について厚生労働省は、介護保険制度について、以下の点で方針を打ち出しています。

  1. どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる
  2. 安全・安心で、自立支援・重度化防止できる質の高い介護サービスを提供する
  3. 人材の有効活用やロボット技術を使って仕事の負担を軽くする
  4. 介護保険制度が安定して持続できるようにする

 

(2)サービスの要求は高くなる傾向

特に2については重視する必要があります。なぜなら、これからの利用者は団塊の世代など戦後生まれの人達が中心になり、サービスへの対価がうるさくなる傾向がみられるからです。「これだけ介護に対してお金を払ってやったのだから、自分が満足・納得できる「相当のサービス」を受けるべきだ」と考えていく人は、確実に増えていくことでしょう。

では、介護における「相当のサービス」は、いったい何を指すでしょうか。それは、「介護を利用する前と比べて、何かしらの意味を見出した」ことであり、さらにその内容を目に見えて分かりやすいものにしていかないと、これからの利用者・家族は納得してくれないでしょう。

 

(3)サービスの可視化が介護経営のポイントになる

 では納得させるためにはどのような対策を取るべきでしょうか。その答えのひとつに、介護サービスを形のあるものとして残し、利用者・家族に提供したのかがあります。

例えば、利用者の状況を数値化し介護サービスの提供でどのようにその数値が変化したのか記録に残し、本人・家族に提供できればサービス内容についてわかりやすくなるでしょう。これはバーセル・インデックス(BI)と呼ばれる手法で可能になります。BIとは食事、排泄、整容などの基本的日常動作10項目を2~4段階で評価し、100点満点で点数が高いほど身体が良い状態と判断される指数です。今回の介護保険法の改正では通所介護を対象に、「BIの結果が良い施設に出す加算(ADL維持加算)」が追加されました。

私は仮にADL維持加算が取れない状況・施設であったとしても、BIは行った方が良いと考えております。なぜなら、介護スタッフの仕事への動機を強くさせる方向に持っていけるからです。今まで介護現場で求められる良い仕事とは、「利用者が落ち着くこと」や「利用者が喜んでもらうこと」などのイメージで判断するものが多いので、その基準が人によってばらばらになる傾向がありました。BIでは入浴や食事などの介護を必要とする場面で、具体的に利用者がどのレベルにいるのかが数値化されています。その数値を見ることで、利用者の情報が客観的な内容になり、ならにそれを基にレベルが低いところについてカンファレンスの材料にすることで、今後の利用者のケアの方向性が見えてきます。介護スタッフにとって仕事を動機を下げる要因として「自分のやっていることに意味はあるのか」というものがあります。それにこたえるためにもBIを検討してみてはいかがでしょうか。